酒とホラの日々。 -5ページ目

年の瀬の喧噪の合間に

冬富士

12月8日
まだ12月の上旬だが冷え込みが厳しい。早朝凍てついた道を歩くと、まだ落ちきらない冬を迎えた葉が、ざわざわと北風に鳴っている。
  寒波来て木に取り残されし紅葉かな

12月9日
今朝も厳しい冷え込みが続く。朝日にきらきらと光る野原に時折さまざまな色が混じる。花のまま凍てついた秋の草花だ。霜氷の下で春の夢をみているのだろうか。
  霜一枚かぶりて眠る花野かな

12月10日
この時期、自然と出勤で家を出るのは日の出前になる。一時鮮やかなオレンジの光に染まる地平には、影絵のようにビルと人の姿が浮かんでいる。こうして今日もまた一日が始まる。
  冬暁に人影立ちて世は回る
 
12月11日
昨夜は忘年会、体が重い。いつもより暖かい朝だが雨が迫っているらしい。切れ切れの雲が東へと流されていく。折りたたみの傘を持って出かける。
  忘年会明けて気怠い冬雨かな

12月12日
昨日の雨も上がり、朝日が射してしだいに空気も乾いてきた。いつもの冬の眺めだが、師走の喧噪に巻き込まれる前の、束の間の静けさにひたる朝。
  年の瀬に静寂一息朝の時
  



  

低く巡回する冬日の見せる朝夕の美しさを感じる候

冬の暮れ

12月1日
今日から師走。あっという間の一年が駆け抜けていく。せわしない日々にも自分のペースは見失うまいぞ。
  忙しさはフリだけでよし己が暮れ

12月2日
朝から晴れて皆長い影を引きずって歩く。静穏な朝だがしだいに冷えて風も強くなってくるようだ。日本海側はすでに暴風雪である。
  雨雪の絞りかす也凩吹く

12月3日
昨日からめっきり冬めいて、日本列島もすっかり寒波に覆われ、各地それぞれに冬らしい光景が現れている。
  目覚めれば白く吹雪いた冬の街

12月4日
一昨日辺りから本格的な冬モード。朝の着替えも吹雪いたテレビの映像も、すべてが私の活動を鈍くする。
  我もまたネコのなかまの炬燵かな
 
12月5日
昨夜までの雨が上がり、朝焼けを浴びた雲が道を照らしている。 日々、そして今日から、いつも新しい一日の始まり。
  新しき行く道照らす光あり
 
 
 

一雨ごとに季節も進展

bannshuu

11月24日
三連休の最終日は曇り。午前は家で庭の手入れを行う。渋茶に変わった木の葉も落ちて地に還ると、季節はもう冬に至ったという感が強い。
   裸木を透く風寒し秋の末

11月25日
深い地の色に染まった木立にしとしとと冬の雨が降る。日中は気温も上がらない。
   冬隣 落ち葉を濡らす氷雨かな

11月26日
今日も終日冷たい雨。行き交う人の眺めも一気に冬めいた。色づいた木の葉も皆地面に貼りついた。
   音もなく秋幕引きぬ雨の下
 
11月27日
久々に朝日が顔を出した。氷雨が去って今日は気温も上がってくるらしい。冬の入り前にほんの一息。
   小春日の期待をこめて空仰ぐ

11月28日
日の出はますます遅くなり、起床時はもとより家を出るころにもどうかというくらいである。内勤者はしばし日の光のない世界の住人となる。
   勤めの背遅い朝日が追い掛ける



 

日ごと濃くなる冬の色

晩秋2
11月17日
電車から眺める街の風景は、日毎に冷え込んで色も光も徐々に変わって行く。毎日わかっているはずなのに、ある日季節ががらりと移ってしまっていることにまた驚く。
    見渡せば冷えて乾いた冬の街

11月18日
街を照らす11月の朝日はどこか白っぽく冷たい。こうしてしだいに街を冬色に染めていくのだろうか。
    冬色に染まる人波息白し

11月19日
毎日身の回りのことをつぶやくのは、そうしても朝の通勤の時のことになりがちで、自然、内容も朝に偏ってくる。
    朝駆けて昼の日知らぬ勤めかな


11月20日
冷えて乾いてくる空気が日毎に気になる。年とともに寒さに弱くなっているのも顕らかだ。朝の防備は欠かせない。
    手袋に襟巻きマスク朝武装
 
11月21日
去年は12月に入ってからスーツの上にコートを着始めた。ことしはもうどうしようと思うほど寒い。とりあえず中にカーディガンを着込んできた。
    服迷うコート着るのは少数派

冬隣、世の中あげて寒さ対策を急いでいるかのよう

冬隣2

11月10日
雨止んで晴れ上がる。冬の近い11月でも雨上がりの朝は清々しい。
  雨上がり良きこと祈る朝日かな
 
11月11日
下弦の月照る空の下、宴会を終えて黙々と歩く。
  冷月の照る道を行く黙々と
 

11月12日
だいぶ朝晩は冷え込むが、それでもまだ日中は日が照ると大慌てで飛びかう虫もいる。
  冬隣 どこに急ぐや遅い虫

 
11月13日
この時期日毎にも朝晩にも気温差が大きく、着るものの選択が難しい。今日も電車に乗って汗ばみだす。
  着ぶくれて出かけた朝を悔いる昼

 
11月14日
出勤の朝、畑地を厚い霜が覆っていた。朝日に輝く風情を愛でる余裕もなく駅へと急ぐ。勤め人の悲しさか。
  会社へと霜踏み分けて息白し

  
 

霜月、冬の扉が開く 

霜月の朝


11月3日
秋の日は寂しい。楽しいにぎやかな出来事があっても、基調にあるのは寂しさである。寂しさから逃れようとじたばたする一日がまた始まる。
    秋の日は明けても暮れても寂しかな

11月4日
時雨模様の日が明けると、遠くの山の頂きにはうっすら冠雪が見られた。冬がすぐそこまでやってきているのだ。
    晩時雨明けてみぞれの冬の道

11月5日
朝夕の寒さが日毎に身にしみる。快晴の空のまじりけのなさが、空気を研ぎ澄ましたように寒さを一層際立たせている。
    澄み渡る遠き天より寒気降る

11月6日
昨日まで北へ旅していた。秋は奥深いところへ進んでいた。紅葉は最終盤で、野山は枯れ野に変わる寸前だった。
    野あざみの倒れて寒し秋の果て

11月7日
朝と夕の冷えでは同じ気温でも朝の方がずっと身にしみる。これは朝起床時の体温が一日で最も低いためなのだ。弱々しくても朝の日だまりの有り難いこと。
    日だまりのいとおしさ知る霜の朝



深い秋色に染まる野を歩く

秋木立2

10月27日
商業イベントの少ない秋に向けた関係者の長年の努力がやっと実を結び始めたか、ハロウィンのコスプレが目を引く。大人はどうかと思うが小さい子がにぎやかに行き交う様はいいものだ。
    幼な児が訪ね歩くや万世節


10月28日
晴れて乾燥。空気に冬の気配が混じりだす。澄んだ光に照らしだされる秋色の木立が美しい。
    染め野行く秋の微光に照らされて


10月29日
毎朝同じ時刻に出かけ電車を待つ。日毎に日は低く影は長くなっていく。今日も快晴の一日だと天気予報は言っている。
    首すくめ電車待つ人影長し


10月30日
落ち葉の季節。本格時期はまだこれからだが、片付けは面倒だ。それでも朝一番の一仕事として日課としたら、寝起きの血行がよくなったのか朝の寒さがあまり苦でなくなった。
    早朝の運動代わりと落ち葉かく

 
10月31日
今日は朝から降ったり止んだり。降るたびに空気もひんやりして、もはやしぐれ模様の感。明日から月もかわりまた季節が進む。
    旅人も歩み速めるしぐれ空












秋が深まり朝夕の冷え込みが身にしみる

秋木立

10月20日
日に日に昼が短く光は弱くなっていく。朝は早く帰りは日暮れ後の勤めの身にはなおさら陽光がいとおしい。
    露冷えてありがたきかな日の光


10月21日
雨の朝。濡れ落ち葉が地べたに張りついている。風情をどうこう言うよりもあとの掃除が面倒そうだ。
   紅葉も一雨ごとに染まりゆく


10月22日
起床後降りだした雨は終日、さらに明日も、ずっと降り続くようだ。色づいた葉が誰にも手を付けられず地面に貼りつきただ積もっていく。
   地を染めて長い雨降る秋木立


10月22日
まだ10月ながら今日は12月上旬並みの寒さだそうで、秋冬物の上着を着て出勤。今季初で去年より数日早い。
   秋服にくるまれて知る冬近し


10月23日
冷え込んだ朝。長雨が上がって朝日が射している。日の光を浴びて暖を得て、ようやくのろのろと活動を開始する、私はもはや変温動物に近いのか。
   日を浴びて巡り始める血と今日と





季節が冬に向かって走っていく そろそろ寒さ対策が必要

遠い灯り2
 

けさの最低気温は12度くらいまで下がった。こりゃ寒い。先週は台風が南の空気を引き連れてきていたり、電車に半袖もまだそれなりにいたというのに。

10月13日
また台風が来て去った。ニュースや気象予報やら交通情報を追い掛けて過ごす一日もまた疲れるものだ。
   気をもませ駆ける台風足早に

10月14日
台風は弱って勢力を無くしていく終盤に向かってどんどん足を速めてひとり海の彼方へ去っていく。人もまた年をとるごとに一年が短い。
    台風も安息得るか海の果て

10月15日
野葡萄の実は驚くほど美し多様な青色をたたえて実る。ただの野草にも宿る季節の美しさ。
   天空の青映し込めたり野葡萄に

10月16日
この時期着る服に迷う。朝晩と日中の寒暖差があるうえ日毎の天候次第で体感気温も大きく違う。電車の中にも半袖と中綿入りジャケット来た人が並んでいる。
   服迷い駆け足出社の秋の朝

10月17日
秋は日の落ちるのも早くあっという間に気温も下がってくる。闇に沈んでいく地平にともった灯りが揺らいでいる。人家の暖かさが伝わりほっとする。
   揺れる灯にぬくもり伝う秋の宵






台風去ってまた台風

穏やかな秋


10月6日
台風接近の月曜朝。電車は始発から間引き運転なので早出したが駅に着くまでも強雨で一苦労。
   恨めしい台風の朝宮仕え

10月7日
台風一過青空を背景にはち切れそうになった柿や栗が映えている。秋も真っ只中へ向かっている。
   雨去りし野天の間に秋万載

10月8日
いよいよ秋の冷え込みが肌身にしみだした。電車待つ間にも上着が欲しくなってきたかも。
   初上着 通過電車の風冷えて

10月9日
昨晩は月食で赤褐色の望月が出現。これもまた秋の月。
   赤錆の月皆見上げる秋の宵

10月10日
まだ遠いとはいえまた猛烈な台風が近づいている。そんなことなど想像すらできない穏やかな朝。
   彼方から無事祈りたり朝の静穏