年の瀬の喧噪の合間に | 酒とホラの日々。

年の瀬の喧噪の合間に

冬富士

12月8日
まだ12月の上旬だが冷え込みが厳しい。早朝凍てついた道を歩くと、まだ落ちきらない冬を迎えた葉が、ざわざわと北風に鳴っている。
  寒波来て木に取り残されし紅葉かな

12月9日
今朝も厳しい冷え込みが続く。朝日にきらきらと光る野原に時折さまざまな色が混じる。花のまま凍てついた秋の草花だ。霜氷の下で春の夢をみているのだろうか。
  霜一枚かぶりて眠る花野かな

12月10日
この時期、自然と出勤で家を出るのは日の出前になる。一時鮮やかなオレンジの光に染まる地平には、影絵のようにビルと人の姿が浮かんでいる。こうして今日もまた一日が始まる。
  冬暁に人影立ちて世は回る
 
12月11日
昨夜は忘年会、体が重い。いつもより暖かい朝だが雨が迫っているらしい。切れ切れの雲が東へと流されていく。折りたたみの傘を持って出かける。
  忘年会明けて気怠い冬雨かな

12月12日
昨日の雨も上がり、朝日が射してしだいに空気も乾いてきた。いつもの冬の眺めだが、師走の喧噪に巻き込まれる前の、束の間の静けさにひたる朝。
  年の瀬に静寂一息朝の時