霜月、冬の扉が開く  | 酒とホラの日々。

霜月、冬の扉が開く 

霜月の朝


11月3日
秋の日は寂しい。楽しいにぎやかな出来事があっても、基調にあるのは寂しさである。寂しさから逃れようとじたばたする一日がまた始まる。
    秋の日は明けても暮れても寂しかな

11月4日
時雨模様の日が明けると、遠くの山の頂きにはうっすら冠雪が見られた。冬がすぐそこまでやってきているのだ。
    晩時雨明けてみぞれの冬の道

11月5日
朝夕の寒さが日毎に身にしみる。快晴の空のまじりけのなさが、空気を研ぎ澄ましたように寒さを一層際立たせている。
    澄み渡る遠き天より寒気降る

11月6日
昨日まで北へ旅していた。秋は奥深いところへ進んでいた。紅葉は最終盤で、野山は枯れ野に変わる寸前だった。
    野あざみの倒れて寒し秋の果て

11月7日
朝と夕の冷えでは同じ気温でも朝の方がずっと身にしみる。これは朝起床時の体温が一日で最も低いためなのだ。弱々しくても朝の日だまりの有り難いこと。
    日だまりのいとおしさ知る霜の朝