文豪ゆかりの名店を訪ねる
東京のすぐ近く、千葉県船橋の割烹旅館玉川(登録有形文化財)
大正時代に作られたこの玉川旅館は、文豪ゆかりの割烹旅館として今なお存在感を放っております。
太宰治ゆかりの宿なんて紹介されることもあるのですけれど、
実のところこの旅館、太宰治なんか無銭飲食で叩き出しているのですよね。
でも太宰治は実際ひどい男で、「走れメロス」みたいな感動的な話を書いてはいますが、メロスの元になった実話なんてこれまたすごいもんです。
というのもある時、熱海の旅館で遊び呆けている太宰を心配した家族が、
親友の檀一雄に頼んで迎えに行ってもらったところ、
溜まった宿代や遊興費を払えない太宰は、
金の工面をしてくるからと言って、檀一雄を身代わりに
旅館に置いて行ってしまうのです。
・・・そしてもちろん、太宰メロスが帰ってくることはありませんでした。。。
とても人の行いとは思えませんが
この後、太宰はこの逸話も元に走れメロスの着想につなげたと言われてもおります。
こんなトンデモ・エピソードを「走れメロス」のような感動的な話にしてしまうとは、さすが文豪ですね。
太宰が昭和文壇のアイドル的存在だったのはわかりますが、
決して友達にはなってはいけない男だったのもまた確かなことでしょう。
それに小学校の教科書にメロスが載っていたような気もしますが、
子供に読ませて良い話だったのだかどうだか。。。
そんな妙な感慨を得た割烹旅館訪問の日でありました。
・・・それにしても、太宰を無銭飲食で追い出しておいて、
今さら広告のネタに使うとは、この玉川旅館もたいしたタマだとは思います。
まあ、取りはぐれた宿泊費の代わりなのでしょうね。
(それにしっかり、所持品も代金のカタに取り上げて、太宰ゆかりの品とか云って展示もしているのですが、まあ悪いのは太宰の方ですからね 笑)