夏の訪れを湖畔の別荘で迎える
乳白色の靄を越して雨上がりの朝日がカーテンの間から差し込んでくる。
私はもう少し眠ろうか、湖へ散歩に行ってみようかと
夢うつつのうちにぼんやりと考える。
木々の間を満たすひんやりとして澄んだ空気は
すべてが良好に推移することをすること約束してくれるだろう。
窓の近くで小鳥のさえずりが大きくなってきた。
そろそろ起きるとしようか。
それにしても、下界は雨が上がっていきなりの猛暑に
見舞われているのだという。
日本特有の高温多湿の夏がやってきているのだ。
猛暑と多湿と熱帯夜と戦いながら
人ごみと不快な空気の中働きに出かけていては
さぞ健康寿命がすり減ることだろう。
ただでさえ夏場は老化が激しく進むというのに。
私は7月から9月までをここ、高原の別荘で過ごすことにしている。
ごみごみした都会を離れ、
毎日散歩と思索と酒の毎日を過ごしているが、
今日は気が向けば
近くの別荘のパーティーに出かけて
芸術や歴史談義をすることになるだろう。
私は着替えながら、下の都会で大汗をかいて
ストレスを抱えて出勤するかつての同僚たちのことを
ちらと思いやったが、それもすぐに
漂ってきた朝食のにおいの中にまぎれて消えた。
雨も上がった今日ももいい一日になりそうだ。
***
・・・という生活を私はしているはずだったのだが、
何年たっても実現しないのは世の中が悪いせいだ。
雨が上がったと思ったら、本格夏モードに突入。
憧れは、夏は高原へ、冬は南国へ行く生活なり。
あ~あ。