秋の日はつるべ落とし、秋から冬へも駆け足で季節が過ぎていく
10月○日
秋は夕暮れ。確かに秋の暮れ時というものは美しいもので、何気ない周囲の眺めを魔法のような光景に変えてしまう。だがそれもほんの一時。暮れ落ちる日と共にたちまち光は色を失い、すべては闇の中に没してしまう。
浮雲に残照一時闇迫る
10月○日
秋の夜の空気というものは落ち着いて静寂があたりを支配する。静けさの中でひとり盃を傾けるのも良いが、古い友が集えば、昔の話で盛り上がり、たちまち笑いが静けさを打ち破る。これがまた良い。
長き夜の静寂破る同窓会
10月○日
十月も後半となると、列島に雪の便りもちらほら聞こえてくる。私の行ったところは雪はまだだが、朝早い移動で使ったバス停の前は一面の畑で、日を浴びた霜がきらきらとまぶしかった。
霜光を全身に浴びバスを待つ
10月○日
朝の冷え込みが本格化してきた。冷え込みと共に寝起きのからだがこわばり、古傷も痛む。それでもこの程度の寒さならまだ少し動けば体も温まり目も覚めてくる。
朝寒に一駅歩いて血が巡る
10月○日
秋の夜長は灯下読書に親しむ、といきたいところだが、いつの間にやらこの世とも本の中とも違う世界に移動してしまっていることが多い。読書の秋より睡眠の秋。
本に伏しいつか寝落ちの長い夜