静けさと寂しさと、落ち着いた空気 | 酒とホラの日々。

静けさと寂しさと、落ち着いた空気

コスモスの原

10月○日
丘の上に登ると風が好き勝手放題に吹き抜けている。夏は牧草地だが、秋はコスモスでいっぱいだ。風がやってきて通り過ぎてく道が見える。もちろん風自体は見えないし、どこから来てどこに行くのかも見えないのだけれど。
   風渡るコスモスの丘の中に立ち
     秋去り冬来る彼方眺める


10月○日
夜になるとやかましいほどの大音量であたりを包んだ虫の声も、秋が進み気温の低下と共にだいぶおとなしくなってきた。今は静寂の中にたまにぽつりと鳴く虫がいる程度。
   我包む虫の音いつか風となり

10月○日
日が暮れるのがはやく物寂しい秋の晩でも、盛り場に出かけ得る機会があると、一時寂しさを忘れることもできる。人嫌いで厄介な他人は避けて過ごしたいと思っていても、結局人間は人間から離れられない。
   ネオン街素見騒きの夜長かな

10月○日
郊外に出かけ朝早く無人駅から電車に乗る。田んぼの中にぽつんとある駅はひとけもまばらで、驚くほど静かだ。
   秋の田の氷雨に煙る静けさや

10月○日
秋晴れの日も多いが、周期的に雨が降る。雨も降るたびに冷えて季節を推し進めていくようだ。
雨の日は嫌いではないが、バス待ちの傘の列も待ち時間もいつもより長くなる。
  氷雨降り無言のバス列長くなる